老人性難聴



 聴力は30歳代から低下します。米国では65歳以上の約30%,85歳以上の約50%が聴力に問題があるという報告があります。特に男性で高音域(高周波数)が聞こえにくくなります。母音は低音,子音は高音に聞こえます。会話のほとんどは子音で構成されているため,高音域(高周波数)の聴力の低下は会話を困難にします。
 老人性難聴の主な原因は内耳の中にあるカタツムリの形をした蝸牛にあり,その中でも特にコルチ器といわれる器官にあると考えられています。老人性難聴は,蝸牛の病理的変化に基づいて [1] 感覚細胞型(図6-a)、[2] 聴神経型(図6-b)、[3] 血管条型(図6-c)、[4] 蝸牛伝音型(図6-d)の四つに分類できます。

[1] 感覚細胞型とは,コルチ器の有毛細胞の数が減り,有毛細胞が音を電気信号に変えることができなくなり聞こえなくなるというものです。

[2] 聴神経型とは,聴神経や聴神経核が脱落・変性してしまうため有毛細胞で発生した電気信号を脳の中枢に伝えることができなくなるというものです。

[3]血管条型とは,血管条と呼ばれる蝸牛に栄養や酸素を運ぶ毛細管の通路が萎縮し,代謝が低下することから聴力が低下するというものです。

[4] 蝸牛伝音型とは,蝸牛を支える組織である基底板が石灰化したり,脂肪蓄積を起こしそれが聴力の低下に関係しているというものです。