9. J. Taub et al (1999) Nature 399, 162-166

ABSTRACT: 線虫Caenorhabditis elegansの耐性幼虫は飢餓状態で生き続けられる発生段階の副経路である。餌の豊富な線虫が約3週間生きるのに対し、耐性幼虫は、休眠後の寿命に影響を残すことなく、少なくとも2か月間は生存する。休眠持続表現型(Daf-C)を示すdaf-2遺伝子とage-1遺伝子の変異体と、代謝が遅くなると考えられているclk-1遺伝子の変異体では、成虫の寿命が著しく延長する。ここでは、ctl-1変異体は寿命が短くなること以外正常であり、この変異はdaf-c変異とclk-1変異による成虫の寿命の延長を解消することを示す。ctl-1は非定型細胞質カタラーゼを指令しており、第2の遺伝子であるctl-2はペルオキシソームカタラーゼをコードしている。ctl-1のmRNAは耐性幼虫とdaf-c変異体の成虫で増加する。ctl-1カタラーゼは耐性幼虫における飢餓の期間に必要とされ、daf-c変異体とclk-1変異体の成虫におけるこの遺伝子の過剰発現はそれらの寿命を延ばすと考えられる。細胞質カタラーゼは、性成熟以前の延長した休眠状態の間に生じる酸化障害から線虫を守るために進化してきたか、もしくは生物が飢餓に伴う代謝変化を切り抜けるためにもつ普遍的な機構を表しているのかもしれない。