活動の速度
(図5:活動)

一つ目は身体の活動の速度を制御する遺伝子です。食べる、運動する、あるいはリズムを持った動き:体内時計を制御するなどの、活動の速度に関わる遺伝子群(資料3)です。これらの遺伝子を変化させると寿命が延び、寿命を決める遺伝子と考えられます。これらの遺伝子がどのようなことをやっていると考えられるかについてですが、線虫ではいろいろな規則的なリズムを持った活動が観察されます。これらによって活動の速度がわかります。例えば規則正しい頻度で餌を食べます。食べ物はバクテリアですが、喉にある2つの筋肉の球を使って口の中に吸い取っては、ここでミキサーの刃のようなもので、こわして腸に送ります。この動作を通常1分で約250回非常に規則正しく行います。もう一つは脱糞、排便ですが、これもリズミカルに行います。腸に入った食べ物を一定の時間、消化させては、内容物を排泄するのですが、内容物を腸の前の部分に集めて、勢いよく腸の後ろに送り、肛門からぴゅっと糞を出します。これを通常45秒に1回規則正しく行います。クロック遺伝子などの変化で、これらの活動速度がゆっくりになり、寿命が延びます。
(表2:脱糞)

クロック1(clk-1)遺伝子というものが変化すると脱糞が、野生体では、45秒に1回ですが、70秒に1回とゆっくり出すようになります。また摂食は野生体は1分で250回ですがクロック1遺伝子の変化で150回とゆっくり食べることになるというように、ゆっくり活動するようになります。そして平均寿命が通常で16日に対して、クロック1遺伝子が変化すると24日に延長します。生涯の糞を出す回数を加齢変化等を考えないで単純に計算してみますと、野生体でも、クロック1遺伝子が変化した場合でも、どちらもぴったり30000回です。これらの遺伝子は、生涯の活動の総量が変わらない中で、太く短く生きるか、それとも細く長く生きるかを決めているようです。余談になりますが、不思議なことに、この30000回という回数は, 人間の生涯の排便回数を、一日に一回とし、平均寿命を80年として計算したときと全く同じです。すなわち線虫は短い生涯で人間と同じ回数、排便をしているわけです。
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